オーディオの常識が音を立てて崩れるほどのショック!
新築時にオーディオルームの設計を頼まれ、早くからミュージックリファレンスのスピーカーを購入する事を決めておられたのですが、納品直前に発表になったMagic1(フルレンジスピーカー)が気になり、それを試聴した上でどちらかにしたいという事になりました。
その部屋での音は、以前にミュージックリファレンスを持ち込んで聴いて頂いた時も実に見事でしたが、Magic1の鳴りっぷりはその時の何倍も素晴らしく、今までのオーディオの常識が崩れるほど私はショックを受けました。
完璧に作り込んだスピーカーと同じ考えで設計した部屋ですから、寸文の狂いも無いタイミングと呼吸で音楽が奏でられております。5インチのフルレンジユニットで地響きを立てるような重低音が出るのです。
オーディオを何十年もやっていますが、さすがの私もこんな音はイメージの中には全くありませんでした。スピーカーと部屋の関係が倍音構造になっていたら、「これだけのエネルギーが出るんだ!」と生身で経験しました。
オーディオで今回ほど我が意を得たりと思ったことはありません。
またもや、カイザー理論が証明された瞬間でもあります。
”カイザーゲージ”を基に設計
美しい響きのする三和音思想による、縦、横、高さの寸法比は勿論ですが、特に功を奏したのは、床と背面壁と側壁との関係を加速度組み立てにした点でしょう。
その下地材の厚みは床を一番厚くし、次に背面壁、そして側壁を一番薄くして、スピーカーから発した振動が床を初め、部屋が一体となって大太鼓の如く轟くようにしています。
床は桜の無垢材、壁面は杉の間伐材、壁面のホゾ組みの面取りアールが音楽振動の流れを流麗にします。その壁面材を止めるネジのピッチもカイザー寸法で拘っているので、とても魅力的な音色になります。
バスドラの音といい、コントラバスの音といい、それは、それは、生の楽器その物の音です。これほどリアルな音がスピーカーから出る事そのものが誰も信じないと思います。
設計した等の本人でさえその想定を遥かに超えた音で鳴っているのですから・・・。それも、アンプもCDプレーヤーも全くの安物です。電源ケーブルは付属の物ですし、ピンケーブルだってオークションで安く買った物です。
カイザーサウンドの東京試聴室もこんな響きの部屋にしたいのですが、そこは借家ゆえに何ともなりません。でも、お陰で又も良いアイディアが湧いてきましたので、近々ルームチューニングの素晴らしい製品を発表したいと思います。
石膏ボードの上にカイザー寸法の部屋を作る
東京への帰路の途中、PMC/BB5のYさんに今回の出来事を報告しました。
『電話を貰った瞬間、カイザーさんの声の弾んだ話しを聞いたらこれは本物だ!』と直感したそうです。 そしてすぐにやる気になったといいます。
『明日部屋の寸法を測って報告します』。
「ミラクルサウンドスクリーンを近々納品する事になってるけど、それよりも先にやってみたいですねぇ・・・」。
話が早いなんてもんじゃありません。話の中身が終わらない内から決断してるんですから。
『材料は安くくれるところがあるし、木工の方は自分でも自信があるから、10万もあれば出来ると思うので、あとはカイザーさんに設計して貰うだけです』と、自分でさっさと話を進めてしまうほどやる気満々です。
考えてみれば、最近の部屋の内装は石膏ボードにクロス張りがほとんどです。それを剥がす事無く、その上に追加する形の施工法を開発すれば、安くカイザー寸法のオーディオルームが実現します。その貴重なテストケースとなるので、私としても大いに意義があります。
翌日即、部屋の寸法報告の電話がありました。
先ずはスピーカーの背面だけ実験的に提案します。その結果を見て、側壁、床とやって行く段取りです。
良いのを作りますよ!。